番外編・牛の匂いがする部屋で
俺がピンク映画業界に入ったのは、助監督としてです。
初めての現場は、関根和美監督の『きっと会える』というゲイムービーでした。
プロの現場で初めてのカチンコ経験が、
2本のチンコの前でという辺り、
その後の俺の映画人生を物語っています。
助監督時代に住んでいたのは、
母校のにっかつ芸術学院から近い、
京王線の布田駅からすぐにあるアパートでした。
風呂なし・トイレはありで33000円。
部屋の裏には、牛舎がありました。
クーラーもない部屋に流れ込む牛糞の匂いは、
食欲も性欲も奪ってくれました。
助監督時代のギャラは、片手にも満たぬ為、
毎日がサバイバルでした。
助監督について数本目。
痴漢電車モノをやる事になり、
俺は痴漢が付けている日記を作りました。
書いてるうちに夢中になり、
チカン気分でロックンロールとばかりに、
やたらめったら書きまくりました。
それを読んだ痴漢役の方が監督に、
『YOU、一本書かせてみなよ』
と言ってくれたのです。
牛の匂いがする部屋で、二百字の原稿用紙と格闘しました。
ワープロすら持ってなかったので、手書きです。
ゴミ箱は、あっという間にクシャクシャに丸めた原稿用紙とティッシュで一杯になりました。
比率は、原稿用紙が3、ティッシュが7くらいでしょうか。
書いてはカキ、カイては書きを繰り返して出来たシナリオのタイトルは『ストーカー』。
何のヒネリもありません。
書く事に力を注ぎ過ぎた俺はヘロヘロで、
現場ではそれまで以上に役立たずでした。
そんな俺をかばうべき、ヨダレと性格がねちっこいチーフ助監督は、
何の助け舟も出してくれませんでした。
彼の名は、加藤義一といいました。
その作品のカメラマンこそ、
竹洞組の蹴球番長こと創優和さんでした。
本人に確認したら、全く覚えていませんでした。
その後、ありゃまこりゃまと色々あって、
再び脚本を書き出すのは、
『夢魔(劇場公開タイトル・男街イリュージョン)』です。
出演者全員が死ぬわ、チンコはドスで突かれるわ、
唯一出演する女は、逆立ち状態での大股開きで、
蜜壺を銃でドーンと撃たれて血まみれだわ、
ロケ地はウエスタン村だわ、
まー、好き放題な作品でした。
この作品のチーフ助監督こそ、竹ちゃんだったのです。
ウエスタン村近くの宿舎に泊まった時、
真夜中に腹が減ったらしく、
車でカップラーメンを買いに行こうとして脱輪させてしまった竹ちゃんですが、
この作品の脚本を気に入ってくれたのが理由で、
後にデビューする時、声をかけてくれたようです。
と、ここまで書いて気付きました。
俺の転機は、ゲイムービーと共に訪れる事に。
最新作(7月7日に公開)の『男たちの夢音色(原題・終わらない始まり)』は、
どんな転機に繋がるのかは、
まだ分かりません。
今日は、のりお・よしおの『女はホーホケキョ』を聴きながら書きました。
終わらない始まり (男たちの夢音色) 関連リンク
2007.7.7 上野世界傑作劇場他にて公開
出演:橋本和明、岡田智宏、松浦祐也、高見和正、サーモン鮭山、横須賀正一
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